がん治療の副作用と言えば思い浮かべるのは、吐き気や脱毛など・・・。
しかし、口のトラブルは、あまり知られていません。
例えば、抗がん剤の治療を受ける方の約40%に口内炎などの副作用が、更には、強い抗がん剤を使用する骨髄移植や白血病の場合は80%の方に口のトラブルが起きます。
「抗がん剤を投与していたが、口内炎がひどく、食事がとれなくなり、治療がストップしている」、
「汚れた口から、細菌が肺に入り、発熱。抗がん剤が使えない」などの治療の効果を下げることになる場合も少なくありません。
口にかかわる合併症について、例をあげておきます。
●手術では
全身麻酔で、器官挿管する際、歯周病で歯がグラグラしていると、歯を傷めたり抜けてしまったり、また口のばい菌が肺に入り、誤嚥性肺炎の原因にもなります。
●抗がん剤治療では
抗がん剤でがんを叩く際、健康な細胞も傷つき、ばい菌への抵抗力も下がります。
その為、口内炎・カンジタ症・ヘルペスになりやすく、またむし歯や歯周病などがあれば、急激に悪化しやすくなります。
口内炎や歯周病の炎症のばい菌が血管に入り、全身に広がると高熱を発症し、抗がん剤治療を見直す場合もあります。
●放射線治療では
頭頸部周辺の放射線治療の場合、放射線が当たった部分は、やけどのような粘膜炎を起こします。抗がん治療と同様に、免疫力が落ちる為、細菌などが口の中で繁殖しやすく、むし歯や歯周病が悪化しやすくなります。また放射線があたった顎(あご)の骨は感染を起こしやすく、抜歯などが困難になります。
合併症の原因となる口の中の細菌を減らすために、治療開始前の歯科受診が必須です。