インプラント治療において後悔しないためには、事前にしっかりとした知識を持つことが非常に重要です。
本記事では、インプラント治療で後悔しやすい理由やリスク、そしてそれらを避けるための対策について詳しく解説します。
インプラントで後悔する人はどんなひと?
インプラント治療を受ける前に十分な知識を持たずに施術を受けると、後悔する可能性が高くなります。
実際、当院にも、他医院での治療後に「思っていたのと違う」「Webサイトで見た費用と違った」等で相談にこられるケースがあります。
インプラントは決して安価な治療ではありません。そのため、高額な費用を支払ったにもかかわらず、期待通りの結果が得られなければ、そのぶん後悔が大きくなるでしょう。後悔を防ぐためには、以下の点をしっかりと理解し、準備をすることが重要です。
- インプラント治療の基本的な流れ
- 治療に伴うリスクと副作用
- 費用と保険適用の範囲
- インプラントの寿命と必要なメンテナンス
- 治療期間と治療後のケア
インプラントで後悔すると言われる理由
インプラントで後悔するといわれる理由は、以下の3点です。
- 歯の見た目が思っていたものと違った
- インプラント周囲炎になった
- 手術がうまくいかなかった
歯の見た目が思っていたものと違った
インプラント治療後に「見た目が思っていたものと違う」と感じることがあります。これは、人工歯の色や形が周囲の歯と調和していない場合が多いです。
特に前歯の場合、横の歯の色と少し異なるだけで浮いて見えます。形もほんの少し異なるだけで印象が変わるものです。
お口全体のバランスや、笑ったときの見え方なども踏まえて治療することが大切になってきます。また、歯科医師が思う良い歯と、患者様が思う良い歯が異なる場合も十分にありますので、治療前にどんな色や形の歯が良いか、しっかり歯科医師と話し合うことを強くおすすめします。
また、インプラントの上に装着する歯の素材によっても見た目が異なります。セラミック100%のものもあれば、樹脂や金属を用いたものもあります。素材によって費用や見た目、長持ちするかどうかが変わってきますので、歯の素材についてもしっかり説明を受けて選んでください。
インプラント周囲炎になった
インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」になることがあります。
インプラント周囲炎になると、歯周病と同様に、歯ぐきからの出血がみられたり進行するとインプラントを支える骨まで破壊し、インプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。
インプラント周囲炎を予防するためには、定期的な歯科検診とメンテナンスが不可欠です。歯科医院でのクリーニングに加え、毎日の丁寧なブラッシングやデンタルフロスの使用も重要です。また、喫煙や歯ぎしりもインプラント周囲炎のリスク要因となるため、生活習慣の見直しも大切です。インプラントを長持ちさせるためには、日々のセルフケアとプロフェッショナルケアの両立が必要です。
手術がうまくいかなかった
CTを使いしっかりと治療計画がなされていないことによる失敗
CTスキャンを用いて適切な治療計画が立てられていない場合、手術中に重大なリスクが生じる可能性があります。これらのリスクは、診断の誤りや技術の未熟さが原因で発生することが多いです。
例えば、下顎のインプラント手術では、骨に穴を開ける際に神経や血管を傷つけてしまい、神経麻痺を引き起こすケースが報告されています。また、上顎の手術では、上顎洞と呼ばれる頭蓋骨内の空洞にインプラントが突き抜けてしまい、炎症が発生することがあります。
これらの問題は、本来ならばCTで血管や神経の位置を立体的に把握し、適切な位置にインプラントを配置することで回避できるものです。しかし、これが十分に行われないと、人為的なミスとして重大なリスクが発生してしまいます。
治療技術の不足による手術の失敗
治療計画が万全であっても、手術中の技術が不足していると問題が生じる可能性があります。例えば、骨をドリルで削る際には、発生する熱を抑えるために注水が必要です。しかし、注水が十分に行われないまま作業を進めると、熱によって骨が損傷してしまうことがあります。
さらに、手術中にドリルの方向を誤ると、血管を損傷し、過度な出血が発生する危険性があります。
痛みを伴った
インプラントで後悔するそのほかの理由は、痛みが生じる点です。
インプラント治療は外科手術のため、施術に痛みが出てくることがあります。切開した歯ぐきの痛み、穴をあけた骨の痛み、骨や歯ぐきを移植したり骨を作り出す手術をした場合はその部位が痛みとともに腫れることも珍しくありません。
痛みや腫れには個人差がありますが、ピークは手術から2〜3日で、術後1〜2週間で痛みがなくなる方がほとんどです。それ以上に痛み、腫れが続く方は手術した部分が感染している可能性があるため、治療を受けた歯科医院に相談しましょう。
多くの場合インプラントの手術中は局所麻酔を使用するため痛みを感じることはほとんどありません。しかし、痛みに弱い方は眠ったような状態で治療を受けることができる「静脈内鎮静剤」を導入している歯科医院を選ぶこともおすすめです。筒井歯科でも「静脈内鎮静剤」を導入していますので、気になる方はWebもしくはLINEでご相談下さい。
インプラントで後悔しないためのポイント
- インプラントの実績が豊富な歯科医院を選ぶ
- 術後のアフターケアが充実している歯科医院を選ぶ
- 治療歴はしっかりと伝える
- 料金だけで選ばない
インプラントの実績が豊富な歯科医院を選ぶ
インプラントで後悔しないためには、経験豊富で様々な事例に対応している歯科医院を選ぶと後悔するリスクを低減することに繋がります。
なぜなら、インプラントは外科手術を伴う治療で、同じインプラントであっても個人に合わせた細かい治療方法の選択が必要だからです。
人によって歯と骨の状況はそれぞれ異なるため、インプラントの治療実績が豊富な歯科医師が在籍している歯科医院を選ぶことが、インプラントを後悔しないための重要なポイントになります。
歯科医院全体の実績が豊富でも、担当となる歯科医師がインプラントの実績があるかどうかは別なのでご注意ください。
また、歯科医院を選ぶ際は設備も大切です。インプラント治療では目に見えない骨の状態まで判断して治療を行っていかなくてはいけません。CTやインプラントのための機器が充実していることや手術環境が整っていることも、安全にインプラント治療が受けられる条件の1つとなります。
術後のアフターケアが充実している歯科医院を選ぶ
インプラントを後悔せずによい状態で長く使用するためには、アフターケアが充実している歯科医院を選びましょう。
インプラントはセルフケアだけでは十分に清潔な状態を保てなかったり、不具合の発見が遅れてしまったりする可能性があります。
メンテナンスの説明があって、アフターケアがしっかりしている歯科医院を選ぶことが、インプラントで後悔せずに自分の理想の歯に近づけることに繋がります。
治療歴をしっかりと伝える
インプラントで後悔しないためには、これまでの治療歴や薬の服用歴などを正確に伝えましょう。
これらをしっかりと歯科医師に伝えないと、正しく診断できず、本来はインプラント治療が難しいのに、治療を進めてしまうことになりかねません。
また、インプラントは外科手術なので、持病などにも注意が必要です。
- 糖尿病
- 心臓病
- 高血圧
- 腎臓病
これらの病気は、手術後の傷の治りに影響を与えたり、使用できない薬が存在します。そのため、インプラント治療の前には、担当の歯科医師に既往歴(これまでかかった病気の記録)をしっかりと伝えてください。
料金だけで選ばない
インプラントで後悔しないためには、価格だけでは歯科医院を選ばないことです。
たしかに、インプラントの治療費は高額なため「少しでも安い歯科医院を」と思うのは当然です。
しかし、料金が安いのには何かしらの理由があります。例を挙げると、治療費が安い歯科医院のなかには、日本では認可されていないインプラントを使っていたり、治療費の一部だけを提示して安く見せたりするケースもあります。
そのため、価格が安く期待する結果が得られず、結局時間とお金を無駄にしてしまった、とならないためにも価格以外の情報も収集しましょう。
インプラントのメリットについて
インプラントはリスクはありますが、メリットの多い治療法です。
インプラントのメリットは、以下の3点です。
- 残った健康な歯に悪影響を与えない
- 美しく自然な見た目
- 自分の歯のような感覚で噛める
残った健康な歯に悪影響を与えない
インプラントはブリッジや入れ歯などと違って、歯を失った部分に歯根と歯を埋入する治療法のため、ほかの歯に影響を与えない点がメリットとして挙げられます。ブリッジでは隣接する健康な歯を削って支台とする必要があり、部分入れ歯では残存歯に金属のフックをかけて固定するため、これらの健康な歯に負担がかかります。
噛む力はとても大きな力です。その大きな力を小さな歯で受け止めています。
一方、インプラントは失われた歯の部分のみに人工歯根を埋入するため、周囲の健康な歯に一切、手を加える必要がありません。さらに、インプラントは咀嚼力も天然歯とほぼ同等であるため、咀嚼力の低下を補うために他の歯に過度な負担がかかることもありません。
このように、インプラントは失った歯の機能を回復しつつ、残存する健康な歯を守ることができる唯一の治療法といえます。残った自分の大切な歯を守るという観点からは、インプラントは非常に優れた選択肢となります。
美しく自然な見た目
インプラントは、他の歯科治療法と比較して非常に自然な見た目を実現できるのが大きなメリットです。人工歯の素材にセラミックやジルコニアなど、自然歯に近い色や質感を持つものを使用すると、まるで自分の歯のように見えます。
他人に治療を受けたことが気づかれることもほとんどありません。日常生活での会話や食事の際も、見た目を気にせずに過ごすことができます。
自分の歯のような感覚
インプラントの大きなメリットの一つは、自分の天然の歯とほとんど変わらず噛めることです。インプラントは、顎の骨にしっかりと固定されるため、安定性が高く、硬い食べ物でもしっかりと噛むことができます。入れ歯と異なり、ずれたり外れたりする心配がなく、思い切り食事を楽しめるのが特徴です。
食べ物の味や食感を存分に味わうことができ、食事の楽しさが増すだけでなく、消化や栄養吸収の面でも大きなメリットがあります。また、しっかりと噛むことで、顎の骨に適度な刺激が伝わり、骨の健康維持にもつながります。
インプラントで後悔しないための流れを紹介
ここからは、インプラントで後悔しないための治療の流れについて紹介していきます。
- カウンセリング
- インプラント施術
- 術後のメンテナンス
1.カウンセリング
どのようなお悩みがあるのか、治療に対するご希望、既往歴などを伺います。治療を受けるうえで心配なこと、不安なことはないかを確認し、疑問点などを解消していきます。
ここで、自分の治療歴や薬の服用歴をしっかりと歯科医師に伝えないとインプラント治療が適切に行えず、後悔に繋がりかねないので注意しましょう。
次に行うのが、お口の中の状態と歯を支える骨を調べるためのレントゲンとCT検査です。
問診と検査の結果から、歯科医師より今のお口の状況を説明し、今後の治療計画を立てていきます。そして治療計画にご納得いただき、不安な点や疑問点が解消されたら、インプラント治療のための予約をとっていきます。
2.インプラント施術
インプラントの手術には、「1回法」と「2回法」の2種類あります。
「1回法」は1回ですべての処置を行う施術で、「2回法」はインプラント体の埋入とアバットメント(土台)・人工歯の装着の2回に分けて行う施術です。
リスクが少なくインプラントと骨が結合する時間を作れるなどの理由から、2回法の方が安全で、インプラントが長持ちする施術方法となっております。多くの場合2回法を採用しています。
当院では、感染リスクが少なくメンテナンス性が高い2回法の方が安全でインプラントが長持ちする施術だと考え、2回法を採用しています。
2回法の施術における一次手術の施術時間は、1本あたり15分程度です。
一次手術後は骨とインプラントが結合するのを待つために、上あごで5か月、下あごで3か月の期間は治療せずに待機期間となります。この期間、仮の歯を入れるため見た目を気にする心配はございません。
二次手術では、骨とインプラント体がしっかりと結合していることを確認し、インプラント体と人工歯を連結するためのアバットメントとよばれる土台を装着します。アバットメントに型取りしておいた人工歯を装着し、調整したら治療が完了です。
3.術後のメンテナンス
インプラントの治療が終了したら、定期検診をしましょう。メンテナンス内容は、プラークや歯石の除去、インプラント部位の点検や噛み合わせの調整、お口の状態の検査です。
定期検診以外にも、ご自宅での毎日の歯みがきや歯間ブラシなどのセルフケアも大切です。後悔しないようにインプラントを長く良い状態を保つためには、定期検診と毎日のケアの両方が必要です。
インプラントの後悔に関するよくある質問
ここからは、インプラントの後悔に関するよくある質問に回答していきます。
- 歯医者がインプラントをすすめる理由は何ですか?
- インプラントの欠点は何ですか?
- インプラントは何年くらい持ちますか?
歯医者がインプラントをすすめる理由は何ですか?
インプラントをすすめる最大の理由は、ほかの歯の健康を守ることができるからです。
歯を失った場合の治療法はインプラント以外にもブリッジと入れ歯がありますが、このなかで唯一ほかの歯に負担を掛けない治療法がインプラントとなっています。
そして、噛む力が元の歯とほぼ変わらないことも、日々の食生活に制限がない点もおすすめできるポイントです。
インプラントの欠点は何ですか?
保険適応の入れ歯やブリッジと比較すると、
- 費用が高い
- 手術が必要
- 治療期間が長い
などが挙げられます。
インプラントは何年くらい持ちますか?
インプラントの寿命は10~15年といわれています。入れ歯が5~6年、ブリッジが7~8年の寿命ということからも、インプラントの寿命が長いことが分かります。
インプラントの寿命を左右するのは、定期的な歯科医院でのメンテナンスと日々のブラッシングなどのセルフケアです。お口の健康を保つことで、より長くインプラントを保つことができます。
インプラントで後悔しないために慎重に歯科医院を選ぼう
本記事ではインプラントで後悔する理由、後悔しないためのポイントを解説してきました。
インプラントで後悔しないためには、事前にメリット・デメリットなどを知っておくことが大切です。
そしてインプラントで後悔しないために一番重要なのが、治療を受ける「歯科医師選び」です。
インプラント治療の出来を左右するのは、歯科医師の技術と豊富な経験といわれています。信頼でき、しっかり話をきいてくれる歯科医師が在籍している歯科医院で、後悔しないインプラント治療を受けましょう。