インプラントをおすすめする歯科医師と、おすすめしない歯科医師がいることで、インプラントが信用できないと不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インプラントがおすすめな人とおすすめではない人の特徴について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
インプラントをおすすめしない人
インプラントは失った自分の歯の代わりに、人工の歯根を埋め込み被せ物をすることで本物の歯のような働きを持たせる治療方法です。
天然の歯のような噛み心地と見た目を持つため、人気の治療方法となっていますが、おすすめできない人がいることも事実です。
ここでは、インプラントをおすすめしない人の4つの特徴を解説していきます。
- 全身疾患がある方
- 歯磨きができない、メンテナンスに通えない方
- ヘビースモーカーな人
- とにかく費用を抑えたい、すぐに治療を終えたい方
全身疾患がある方
全身疾患により外科手術を受けることができない方は、インプラント治療ができない、おすすめできない場合があります。
【具体的な疾患】
- 糖尿病
血糖値が安定している方は、インプラント可能な場合もあります。 - 心臓病
麻酔を使うことができない方は、インプラント手術ができません。 - 肝臓疾患
肝臓の持病があると、止血異常(血が止まりにくい傾向)が見られます。 - 高血圧症
肝臓疾患同様、高血圧の方も止血異常が見られることがあります。 - その他
免疫疾患のある方や手術に耐えられない方など。
そのため、インプラント治療を検討されている場合は、必ずかかりつけの医師に確認を取りましょう。
また、上記以外の疾患を持つ人でも医師の判断によってはインプラント治療ができないこともあります。
その場合は、ブリッジや入れ歯などその他の治療方法を検討しましょう。
歯磨きができない、メンテナンスに通えない方
「インプラントは第二の永久歯」、といわれることがありますが、天然の歯と同様に、ケアとメンテナンスが非常に重要です。インプラント自体が虫歯になることはありませんが、歯周病に似たインプラント周囲炎にかかるリスクがあります。このため、日々の歯磨きや定期的な歯科医院でのクリーニングが欠かせません。
インプラントは天然の歯と同様に歯茎や骨に支えられていますが、ケアが不十分だと歯茎が炎症を起こし、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
以下のような方には、インプラント治療をおすすめできません。
- 日常的に歯磨きを行えない方
- 定期的に歯科医院に通うことが難しい方
- 口腔ケアに対して無関心な方
インプラント治療を検討する際には、治療後の継続的なケアが必要であることを理解した上で、自分のライフスタイルに合わせて適切な治療方法を選んでください。
ヘビースモーカーな人
タバコを吸っている人は天然の歯であっても失うリスクが高いですが、特にインプラントはさらにリスクが高まります。とくにヘビースモーカーにあたる人は、インプラント治療をおすすめできません。
インプラント治療は、埋め込んだ人工歯根と顎の骨が結合することで土台が安定するため、血流の豊富さが重要です。
しかし、喫煙するとニコチンや一酸化炭素の作用によって、血流の悪化や血管の収縮が起こります。
これにより、一度埋め込んだ人工歯根が結合しないと、再度手術を行い取り外さなければならなくなる可能性が出てきます。
また、喫煙者は口内環境が悪く歯周病になりやすい傾向があるため、インプラント治療後のメンテナンスにも気を遣わなければなりません。
こういったことから、インプラント治療とヘビースモーカーの相性は非常に悪いと言われています。
歯周病のリスクや結合の妨げを考えると、治療の前後は完全に禁煙、インプラントが定着後も本数を減らすなどの取り組みが大切です。
とにかく費用を抑えたい、すぐに治療を終えたい方
インプラント治療は、他の歯科治療と比べて高額になることが多く、治療期間も長くなります。そのため、費用をできるだけ抑えたい方や、短期間で治療を終えたいと考えている方にはおすすめできません。
インプラント治療は健康保険が適応外です。自由診療の入れ歯、ブリッジもありますが、保険適応の入れ歯、ブリッジと比較すると費用は大幅に高くなります。
また インプラントが顎の骨と結合するまでには少なくとも数ヶ月かかります。その後、歯を作るための治療が必要なので、入れ歯・ブリッジと比較して治療期間が長くなります。
インプラント治療を検討する際には、自分のライフスタイルや予算を考慮し、他の治療法とメリット・デメリットを比較して最適な選択をすることがおすすめです。
歯科医師によってインプラントを勧めない理由とは
失った歯の治療としてインプラント治療はメリットの多い治療方法です。
しかし、クリニックや歯科医師によってはインプラント治療を勧めないことがあるのも事実です。
ここでは、インプラント治療を勧めない理由について解説していきます。
- インプラントに関する技術や知識がない
- 設備が整っていない
- 入れ歯治療が得意で勧めたい
- 保険治療に絞って診療している
インプラントに関する技術や知識がない
インプラント治療に関する技術や知識がない歯科クリニックでは、インプラント治療をおすすめしません。
インプラントはすでに耳なじみのある言葉になっていますが、インプラント治療が大学のカリキュラムに導入されたのは最近のことです。
そのため現在はまだ、インプラント治療に関して高い技術力や専門知識を持つ医師が多くありません。
それに加え、インプラント治療は虫歯や歯周病の治療と比べ、外科処置を伴う専門性の高い治療であるということもおすすめされない理由の一つです。
インプラント治療を行うためには虫歯治療や歯周病治療とは異なる技術が必要なので、専門の勉強と技術の習得が必要です。
設備が整っていない
インプラント治療を行うために必要な設備が整っていない歯科クリニックでもインプラント治療はおすすめしません。
インプラント治療の前には、患者さんの歯や骨の状態を正確に把握するために、慎重な検査を行います。
しかし、検査のためには、歯科用のCTなど高価な設備が必要になります。
通常の虫歯や歯周病の治療ではレントゲンを用いた検査が一般的であるため、CTまで完備されている歯科クリニックは多くありません。
インプラント治療は専門性の高い治療であり、設備が整っていない環境では安全性が確保できないという点から、おすすめしない医師もいるようです。
入れ歯治療が得意で勧めたい
歯科医師によっては、インプラントよりも入れ歯治療が得意であり、患者様に対して入れ歯を勧めることがあります。
インプラント治療と同様に、入れ歯治療も専門的な技術が必要な治療で、歯科医師の技術によって治療結果が異なります。
入れ歯治療を受けるのであれば、実績と技術のある歯科医師から受けることは理想です。
どんな治療にもメリット・デメリットがありますので、それぞれの選択肢を踏まえて、ご自分に最適な治療を選んでください。
保険治療に絞って診療している
一部の歯科クリニックでは、保険治療に絞って診療を行っていることがあります。
その場合、インプラント治療はもちろん、自費の入れ歯や、自費のブリッジもおすすめされることが無い場合があります。
インプラント治療は自費診療だけですが、入れ歯とブリッジには保険診療と自費診療の両方の選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで、治療を選んでいただければと思います。
インプラントがおすすめな理由
インプラント治療をおすすめする3つのメリットを解説していきます。
- ほかの歯に負担をかけない
- 天然歯と変わらない見た目と噛み心地
- ガタつかず、取り外しの必要がない
ほかの歯に負担をかけない
インプラントは1本1本が独立しているため、他の健康な歯に負担がかかりません。
インプラントは、もともと歯があった場所に人工歯根を埋め込み被せ物をするという治療方法です。
一方、ブリッジや入れ歯は、隣の歯を削って人工歯を支えたり・隣の歯に金属を付けて人工歯を支えたりする治療方法であるため、他の歯に負担がかかります。
他の健康な歯に負担をかけることで、将来それらの歯まで失う可能性が高まります。
残った健康な歯を守りたいのであれば、インプラントがおすすめです。
天然歯と変わらない見た目と噛み心地
インプラントがおすすめな理由として、天然の歯と変わらない噛み心地と見た目を持つという点が挙げられます。
インプラントはパッと見、天然の歯と区別がつかないため、人前に立つようなお仕事の方でも安心して治療を受けられます。
また、インプラントは人工歯根と顎の骨の結合を利用した治療方法であり、天然の歯と構造が近いため、噛み心地がほとんど変わりません。
ガタつかず、取り外しの必要がない
インプラントは完全に固定されるので、入れ歯のようなガタつきがありません。
インプラントは埋め込んだ人工歯根と顎の骨の結合を利用した治療方法です。
そのため固定性に優れ、固い物でも天然の歯とほとんど変わらない噛み心地で食べることができます。
入れ歯は取り外してのお手入れが必要で、多少のがたつきを感じることがあります。
インプラントがおすすめできない理由
インプラント治療には多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。以下に、インプラントのデメリットについて詳しく解説します。
費用が高額
インプラント治療は他の歯科治療と比べて非常に高額です。保険適用外のため、全額自己負担となることが多く、治療費は数十万円から、本数が多い場合は数百万円に及ぶことがあります。
治療期間が長い
インプラント治療は、手術後に人工歯根と顎の骨が結合するまでに数ヶ月かかります。その後も複数回の通院が必要となり、治療が完了するまでに時間がかかります。
手術が必要
インプラント治療は外科手術を伴うため、手術に伴うリスクがあります。また、全身疾患を持つ方にとっては、手術が難しい場合もあります。
治療後のメンテナンスが必要
インプラント治療後のメンテナンスは非常に重要です。インプラント自体は虫歯になりませんが、インプラント周囲炎という歯周病に似た疾患にかかるリスクがあります。そのため、日々の口腔ケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。
治療後のメンテナンスを怠ると、インプラントが周囲の骨と結合せずに脱落するリスクが高まります。インプラントを長持ちさせるためには、継続的なケアが不可欠です。
インプラント治療のクリニック選びのポイント
ここまででインプラントをおすすめする理由や、おすすめしないクリニックがある理由について理解できたのではないでしょうか。
しかし、いざインプラント治療を受けたいとなったときにどんなクリニックを選べばいいか悩んでしまいますよね。
ここではインプラント治療を受けるクリニックの失敗しない選び方について解説していきます。
- インプラント治療に特化したクリニックを選ぶ
- 料金設定が明確・治療前に費用を確定してくれる
- アフターケアが充実している
インプラント治療に特化したクリニックを選ぶ
インプラント治療に特化したクリニックを選べば、治療後のリスクを最低限に抑えることができます。
インプラント治療は専門性の高い治療方法です。
さらに、安全に治療を行うためには充実した設備が必要になります。
そのため、「インプラント治療の症例数が多い」など、実績のある医師を選ぶことで成功率を高めることができます。
また、クリニックを選ぶ際には、CTなどインプラント治療に必要な最新機器が完備されているか確認しましょう。
クリニックの情報は、各クリニックの公式サイトに掲載されていますので、参考にしてください。
料金設定が明確・治療前に費用を確定してくれる
インプラント治療は決して安価な治療方法ではありません。
そのため、最終的に支払う料金がいくらになるのか、治療前にしっかり確認しておく必要があります。
また、インプラントの種類や被せ物の種類、骨を増やす治療を行うかどうか等で費用が大きく変わります。
治療が終わってから思っていた費用より高かった、なんてことを避けるためにも治療にかかる料金が公式サイトに明確に記載されているクリニックを選び、治療が始まるまでに相談の時点で治療費用が確定させてから治療をうけてください。
アフターケアが充実している
アフターケアの充実はインプラント治療において重要なポイントです。
インプラントを長く良い状態で使い続けるためには、定期的な来院によるメンテナンスが欠かせません。
インプラント自体が虫歯になることはありませんが、ケアがおろそかになるとインプラント周囲炎という歯周病を発症しやすくなります。
そのため、「噛み合わせの確認」「各部位の点検」「口内の検査・清掃」などのメンテナンスを受けられるかなどもクリニック選びの参考にしましょう。
インプラントの不安についてよくある質問
ここでは、インプラントの不安についてよくある質問に回答していきます。
インプラントの弱点は何ですか?
インプラントは天然の歯と似た構造を持つため、治療後も違和感なく生活することが可能です。
「似た」構造であるため、天然の歯と同様に以下のような弱点を持っています。
- 虫歯にはならないが、
歯周病のようなインプラント周囲炎にはなる - 天然の歯と同じく、
歯軋りや食いしばりによって力がかかるとダメージをうける
インプラントの良い状態を維持するためにも、毎日のケアや定期的なメンテナンスを入念に行いましょう。
インプラントは身体に悪いですか?
インプラントの素材として使用されるチタンは、生体組織に馴染みやすく、異物とみなされず骨と結合しやすい性質を持ちます。金属アレルギーの方でも問題なく使用できる場合がほとんどです。
ただし、極稀にチタンにアレルギーを持つ方がいらっしゃいます。
インプラントは何年持ちますか?
インプラントの寿命は平均10年~15年といわれています。定期的なメンテナンスやケアによってはそれ以上に持続する場合も多くあります。
インプラントをできるだけ長く良い状態で使い続けるためにも、毎日のお手入れだけでなく、定期的にクリニックでメンテナンスを受けてください。
インプラントが合うかどうか歯科医師に相談を
歯を失った際の治療には、インプラント、入れ歯、ブリッジと複数の選択肢があります。それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、自分にとってどの治療法が最適かを見極めることが大切です。
信頼できる歯科医師に相談し、各治療法の特長やリスクを十分に理解した上で、自分に合った治療を選んでください。自分のライフスタイルや健康状態に最も適した治療を受けて、より良い口腔健康を維持しましょう。