デンタルフロスがうまくできない原因
フロス を使っているけれども、
「うまくいかない」「特に奥歯が難しい!」。
そんな時は、
ちょっとした工夫やフロスの種類を変えてみるとやりやすくなったりします。
原因1 : 奥歯まで指が届かない
「ロールタイプ(糸タイプ)」のフロスを使っていませんか?
ロールタイプを使うと、少なくとも2本の指を口の中に入れなければなりません。
口が開きにくい人や手が大きい人は柄が付いている「ホルダータイプ」に変えてみましょう。Y字タイプは奥歯の使用にむいています。
原因2 : フロスの糸が歯と歯の間にスッと入らない
歯と歯の隙間にデンタルフロスを入れる時、
歯と歯が接している部分がきつく感じるところがあります。
力まかせに挿入すると歯茎(はぐき)を傷つけてしまいます。
真上から挿入しようとせずに少し斜めに傾けてゆっくりと左右に動かしながらフロスを入れます。歯の面の角度にフロスをいかに合わせるかがポイントです!
鏡を見ながら、スッと入りやすい角度を見つけましょう。
原因3 : フロスが引っかかってやりにくい
デンタルフロスをすると、糸が引っかかってしまうことがあります。
その原因は、引っかかる歯がむし歯になっていたり、かぶせ物が合っていない可能性があります。かぶせ物は入れてから時間が経っていると歯とかぶせ物の間に隙間や段差ができてしまい引っかかるのです。
むし歯や歯周病の可能性があるため、
できるだけ早く歯科医院で診てもらいましょう。
原因4 : 出血するのが怖い
歯茎に炎症があると、
出血する可能性があります。
歯茎があまり腫れずに出血している場合は、このまま使用しても問題ありません。
この段階でしっかりと掃除すれば、歯茎の炎症を抑えることができます。
心配せず、しっかりと歯垢を取り除き、
フロスを継続して使いましょう。
しかし、腫れがひどくなったり出血が続くような場合は歯科医院へ相談してください。
奥歯がむずかしいときにおすすめのデンタルフロス
デンタルフロスには大きく分けて
- 奥歯に使いやすい「ホルダータイプ」
- 指に巻いて使う「ロールタイプ」
の2種類があります。
奥歯に使いやすい「ホルダータイプ」
初めての方におすすめです
ホルダータイプのデンタルフロスの中でも「Y字型」のものは奥歯に使いやすく、
初めてフロスを使う方におすすめです。
持ち手(ハンドル)に対して垂直(横向き)にフロス(糸)が張られていることが
Y字型の使いやすいポイントです(前歯にも使えます)。
Y字型のフロスはF字型やロールタイプよりあとに開発されたもので、
奥歯までフロスが届きやすいように工夫されました。
F字型のフロスは持ち手と平行にフロスが張られており、前歯に使いやすいです。
・奥歯に使いやすく開発されたY字型
・前歯に適しているF字型
指にまいて使う「ロールタイプ(糸タイプ)」
ロールタイプは糸を指に巻いて使います。
はじめは扱いにくく苦手意識がでるかもしれませんが、
だんだんと慣れてきて使うことが容易になってきます。
ホルダータイプと比較すると経済的です。またその都度使い捨てるので衛生的です。
・ワックスタイプ(ワックス付き)の糸と、
・ノンワックスタイプがあります。
ワックス付きのものは、歯と歯の間に挿入しやすく繊維がバラバラになりにくいです。一方、ノンワックスは歯の表面に繊維が広がり、汚れを落とす効果が高いです。
・歯に挿入しやすいワックスタイプ
・より汚れを落とすノンワックスタイプ
歯科衛生士からアドバイスデンタルフロスの選び方
初心者は「ホルダータイプ」のY字型から
奥歯に使いやすいY字型のフロスから、はじめてみましょう。
奥歯だけではなく前歯にも使ってみて、前歯がやりにくいようでしたら、
前歯はF字型で試してみてください。
中級者・上級者は「ロールタイプ」
「ロールタイプ(糸タイプ)」は「ホルダータイプ」と比べると歯面に沿わせやすく、細かい作業がしやすいため、汚れをしっかり落とせると言われています。
フロスに慣れてきた中級者はワックス付きの「ロールタイプ」にチャレンジしてみてください。ワックス付きのものは歯間に入りやすく使いやすいのが特徴です。
詰め物やかぶせ物がある方は、
引っかかりにくいため滑りやすいワックス付きの方がおすすめです。
ノンワックスのものは、滑りがわるい分、フロスに汚れが絡みやすく、
歯垢を掻き出すのにより優れています。
歯に挿入しにくいため、ロールタイプに慣れた上級者の使用が望ましいです。
デンタルフロスの使い方
ホルダータイプのデンタルフロスの使い方
フロス を挿入します
のこぎりの刃を引くようにゆっくりと横(前後)に動かしながら歯と歯の間にフロスを入れます。
歯垢をおとします
歯の側面に沿わしながら、前後だけではなく、上下に動かし、
歯垢を掻き取ります。
フロスを歯に擦りつけるようにすることで、
食べカスと歯垢を効果的におとすことができます。
フロスを抜きます
ゆっくりと横に動かしながら取り出します。
糸が切れるまで使用してもいいけれど・・・
何回か繰り返し使えるホルダータイプのフロスは流水で洗い、
風通しの良いところで保管してください。
使い捨てのホルダータイプは毎回交換してください。
糸が引っかかったり、毛羽立ってきたら交換しましょう。
ロールタイプのデンタルフロスの使い方
フロスを40cmほどの長さでカットします。
両手の中指(もしくは人差し指)に数回巻きつけます。
フロスを張った時に両中指の間が10〜15cmぐらいにして 親指と人差し指で操作をしていきます。
上の歯の場合
親指と人差し指でフロスが張るように持ちます。
親指を歯の前、もう一方の手の人差し指を歯の後ろ(口の中)に入れてゆっくりと前後に動かし、挿入します。上下させて掃除をします。
下の歯の場合
両手の人差し指でフロスを押さえ、ピンと張ります。
使い捨てなので、いつも清潔
ロールタイプのフロスは使い捨てなので、衛生面にも経済的にもおすすめです。
短かめに切って使おうとするとかえって使いづらくなります。
指先から肘ぐらいの長さを目安にしましょう。
ちょっとしたコツでフロスが上手に使える!
力まかせにフロスを挿入しない
歯と歯の接している部分を「コンタクトポイント」と呼びます。
歯と歯の隙間にデンタルフロスを入れる時、
真上から差しこもうとすると力が入るので、斜めに傾け、
のこぎりを引くようにゆっくり動かしながらフロスをいれていきましょう。
フロスが抜けなくなってしまった
歯に挟まって抜けなくなってしまったら、
・新しいワックス付きのフロス を通して取る
・ピンセットで取る
針やカッターなど鋭利なもので取ろうとすると、口の中を切ったりします。
無理やり取ろうとせずに、歯科医院でとってもらいましょう。
うまくはずせない時は…
無理にはずそうとせず、一方の指のフロスをはずし、外側へ抜きましょう。
歯垢がしっかりとれる動かし方のポイント
上から「く」の字型になるように歯の面に押し当てます。
歯の側面に沿わせながら、上下に動かして、
歯垢を掻き取ります。
歯ブラシとフロス、どっちが先に使うと効果的?
フロスを歯磨きの前に行うことが
最も効果的に歯垢を除去する理想的な順序であると、
米国歯周病学会の論文で報告されています。
歯垢が残っているとフッ素は浸透しにくいため、フロス、歯みがきを行なったあとに、フッ素ジェルを塗り込むほうが効果が高いと考えられます。
The results showed that flossing followed by brushing is preferred to brushing then flossing in order to reduce interdental plaque and increase fluoride concentration in interdental plaque.
Mazhari F, Boskabady M, Moeintaghavi A, Habibi A.(2018 Jul;89(7):824-832.)The effect of toothbrushing and flossing sequence on interdental plaque reduction and fluoride retention: A randomized controlled clinical trial.
奥歯のフロスはむずかしい!
そんな時はお気軽にご相談ください
「フロスの種類」や「やり方」を変えたりしても
奥歯のフロスが難しく、うまくいかない場合は、
歯科医院にご相談ください。
当院では、歯の形に合わせ、
適切なフロスの種類や効果的に使う方法やアドバイスもいたします。
デンタルフロスを使うことで歯垢を落とす効果は大幅にあがります。
しかし使い方を間違うと歯茎を傷めたり、十分な効果を得られないこともあります。正しくフロスを使い、歯の健康を維持していきましょう。